セキュリティとは?守るべき7つの要素を理解しよう!
情報社会の進展により私たちの生活やビジネスはデジタル化されましたが、便利さと利益には危険も潜んでいます。
本記事では、セキュリティの定義や要素、脅威、対策方法を解説します。情報を守り信頼性を確保するために、情報セキュリティの重要性と具体的な対策方法について理解を深めましょう。
セキュリティとは
セキュリティとは、「安全」や「保安」という意味を持ち、英語では「security」と表記されます。セキュリティには大きく2つの主要な種類が存在します。
1つ目は「情報セキュリティ」。情報セキュリティとは、情報やデータを不正アクセス、漏洩、改ざん、破壊などから守るための取り組みや対策のことを指します。
情報セキュリティでは、情報の「機密性」「完全性」「可用性」を保つことを目指しており、これらは情報セキュリティの3大要素として知られています。重要な情報の外部漏洩、データの改ざん、ウイルス感染などを防ぐために、必要な対策を講じます。
もう1つはサイバーセキュリティ。インターネットやネットワーク、コンピュータに焦点を当てたセキュリティの概念です。サイバーセキュリティは情報セキュリティの一部であり、情報セキュリティが物理的なセキュリティや他の脅威にも対応する対策を含むこととは異なります。
セキュリティの重要性と目的
セキュリティは、私たちの個人情報や機密データを守るために不可欠な要素。セキュリティの重要性は、以下のような理由にあります。
データ保護とプライバシーの確保
セキュリティは、機密情報や個人情報の漏洩や不正利用を防ぐための重要な役割。組織や個人のデータが第三者の手に渡ることは、信頼関係の崩壊や法的な問題を引き起こす可能性があります。セキュリティは、データの保護とプライバシーの確保に向けた基本的な要件です。
システムの可用性と信頼性の確保
セキュリティは、システムの可用性と信頼性を確保するためにも重要です。悪意のある攻撃や不適切なアクセスによってシステムがダウンしたり、データが改ざんされたりすると、業務の停止や顧客の信頼喪失につながる可能性があります。セキュリティ対策は、システムの持続的な稼働と信頼性の向上に寄与します。
法的要件と規制への適合
セキュリティは、組織が法的要件と規制を遵守するためにも欠かせません。個人情報の保護法や業界固有の規制など、多くの法的要件が存在します。セキュリティ対策を実施することで、法的リスクを最小限に抑え、組織が適切なコンプライアンスを達成できるようになります。
情報セキュリティに関する脅威
脅威の要因 |
例 |
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情報セキュリティにおける 脆弱性 |
悪意ある脅威 |
ソフトウェアの脆弱性 |
偶発的な脅威 |
管理文書・体制の不備 |
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環境に起因する脅威 |
災害やトラブルに弱い立地 |
情報セキュリティにはさまざまな脅威が存在します。以下では、悪意ある脅威、偶発的な脅威、環境に起因する脅威について説明します。
悪意ある脅威
悪意ある脅威は、意図的に情報を悪用し、システムやデータに損害を与えようとする攻撃者によって引き起こされます。
ハッカー(コンピューターシステムやネットワークに侵入し、不正なアクセスや操作を行う個人またはグループ)、クラッカー(不正な目的のためにコンピューターシステムやネットワークに侵入し、破壊や盗みなどの悪意ある行為を行う個人やグループ)、マルウェア(悪意のあるソフトウェアの総称)の開発者などがこのカテゴリに含まれます。
彼らは不正なアクセス、データの盗難や改ざん、サービスの妨害などの悪意のある行為を行います。セキュリティ対策は、このような攻撃からシステムとデータを保護するために不可欠です。
偶発的な脅威
偶発的な脅威は、意図せずに情報やシステムに損害を与えるリスク。例えば、誤って重要なデータを削除したり、誤った宛先に機密情報を送信したりすることがあります。ユーザーエラーや技術的な問題、過失によって生じる可能性があります。
教育や訓練、適切な手順や制限の実施などによって、偶発的な脅威を最小限に抑えることが重要です。
環境に起因する脅威
環境に起因する脅威は、自然災害や事故などの外部要因によって引き起こされるリスク。火災、地震、洪水などの自然災害は、物理的なインフラやデータセンターに深刻な影響を与える可能性があります。また、停電、通信の中断、サーバーの故障などの技術的な問題も環境に起因する脅威と考えることができます。
バックアップと復旧戦略、冗長性の確保、災害対策計画の策定などを通じて、環境に起因する脅威に対処する必要があります。
情報セキュリティの脅威を引き起こす「脆弱性」の種類
情報セキュリティの脅威は、さまざまな脆弱性によって引き起こされます。以下では、プログラムの弱点、組織の文書管理と体制の欠陥、脅威や問題に対して脆弱な場所について説明します。
プログラムの弱点
プログラムの弱点は、ソフトウェアやアプリケーションに存在するセキュリティ上の脆弱性。
これは、バグ、脆弱性のあるコード、不適切な設定などの要因によって引き起こされます。攻撃者はこれらのプログラムの弱点を悪用し、システムに侵入したり、機密情報を盗んだり、システムを乗っ取ったりすることがあります。
セキュリティの強化と定期的なパッチ適用によって、プログラムの弱点を最小限に抑えることが重要です。
組織の文書管理と体制の欠陥
組織の文書管理と体制の欠陥は、情報セキュリティにおける重要な要素の1つ。適切なセキュリティポリシーや手順を欠いていたり、従業員の教育や意識向上が不十分だったりする場合、内部からの攻撃などの脅威が生じる可能性があります。
内部からの攻撃には、内部者による機密情報の盗み出しや権限の濫用、マルウェアの故意のインストールなどがあります。セキュリティポリシーの策定と実施、アクセス制御の強化、従業員の教育と意識向上の推進などを通じて、文書管理と体制の欠陥を修正する必要があります。
脅威や問題に対して脆弱な場所
脅威や問題に対して脆弱な場所は、物理的な環境やシステムの設計上の弱点です。
例えば、セキュリティ対策の不十分なネットワーク、強固でないパスワードなどが該当します。これらの脆弱性が存在すると、攻撃者は容易に侵入したり、攻撃を仕掛けたりできます。
脆弱な場所を特定し、適切なセキュリティ対策を講じることで、システムや環境のセキュリティを向上させることが重要です。
情報セキュリティの7要素
要素 |
内容 |
機密性 |
情報が権限のない者に漏洩しないように保護すること |
完全性 |
情報が正確であり、改ざんや破損がないこと |
可用性 |
情報が必要な時に必要な人がアクセスできる状態であること |
真正性 |
情報が改ざんされていないことを保証すること |
責任追跡性 |
情報へのアクセスや変更の履歴を追跡できること |
否認防止 |
情報の提供や行動の否認を防ぐこと |
信頼性 |
情報システムやセキュリティ対策が適切に機能すること |
情報セキュリティを確保するためには、さまざまな要素が必要。以下では、機密性、完全性、可用性、真正性、責任追跡性、否認防止、信頼性について説明します。
機密性
機密性とは、情報が権限のない者に漏洩しないように保護することを指します。機密性の実現には、適切なアクセス制御や暗号化技術を導入することが重要。これにより、機密情報が不正なアクセスから守られ、権限のある者のみが情報にアクセスできるようになります。
これを実現するには、アクセス制御の導入やネットワークセキュリティの強化、暗号化の利用などの対策が有効です。
完全性
完全性は、情報が正確であり、改ざんや破損がないことを意味します。情報の完全性を保つためには、データの改ざん検知やバックアップの実施、アクセスログの記録などの対策が必要です。これにより、情報の信頼性を確保し、データの改ざんや破損から保護します。
可用性
可用性は、情報が必要な時に必要な人がアクセスできる状態であることを指します。情報の可用性を確保するためには、システムの冗長化や障害対策、バックアップと復旧の計画などが必要。これにより、システムやデータの利用可能性を高め、業務の中断やデータの損失を防ぎます。
真正性
真正性は、情報が改ざんされていないことを保証すること。真正性を確保するためには、データの署名やハッシュ値の検証、認証手段の導入などが重要です。これにより、情報の信頼性を確保し、改ざんやなりすましによる攻撃から守ります。
責任追跡性
責任追跡性は、情報へのアクセスや変更の履歴を追跡できることを意味します。責任追跡性を確保するためには、ログの記録と監視、アクセス制御の強化が必要です。これにより、不正行為の発見や対応が容易になり、情報の安全性を向上させます。
否認防止
否認防止は、情報の提供や行動の否認を防ぐことを指します。否認防止のためには、デジタル署名や認証手段の導入、トランザクション(データベースや情報システムにおける処理の単位)の監視などが必要です。これにより、情報の信頼性を確保し、否認によるトラブルを未然に防止します。
信頼性
信頼性は、情報システムやセキュリティ対策が適切に機能することを意味します。信頼性を確保するためには、セキュリティポリシーの策定と実施、定期的な監査と評価、セキュリティ意識の向上などが重要です。これにより、情報システムの信頼性を高め、信頼できる環境を構築します。
企業が行うべき情報セキュリティ対策
セキュリティ対策 |
具体例 |
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企業が行うべき 情報セキュリティ対策 |
パソコンの セキュリティを強化 |
ウイルス対策ソフトウェアやファイアウォールを導入 |
従業員への教育の徹底 |
セキュリティ意識の向上を促すトレーニングを実施 |
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テレワークへの対策 |
VPNの利用やセキュリティのリモートアクセスの提供、 遠隔ワイプ機能の導入 |
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適宜バックアップをとる |
定期的かつ適切なバックアップを行う |
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無停電電源装置を設置 |
無停電電源装置を設置する |
情報セキュリティを確保するためには、企業は以下の対策を講じる必要があります。以下では、パソコンのセキュリティの強化、従業員への教育の徹底、テレワークへの対策、データのバックアップ、無停電電源装置(UPS)の設置について説明します。
パソコンのセキュリティを強化する
パソコンは企業で重要な情報を扱うため、セキュリティ対策が欠かせません。ウイルス対策ソフトウェアやファイアウォールを導入し、定期的なアップデートとスキャンを行うことが重要。また、強固なパスワードの設定や二要素認証の導入も効果的です。これにより、パソコン上の情報が不正なアクセスや攻撃から守られます。
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従業員への教育の徹底
従業員は情報セキュリティの最前線に立つ存在です。企業は従業員に対してセキュリティに関する教育を徹底することが重要です。
適切なパスワードの作成方法やメールの添付ファイルの開封に注意するなど、セキュリティ意識の向上を促すトレーニングを実施しましょう。さらに、フィッシング詐欺や悪意のあるリンクなどのリスクに対する警戒心を醸成することも大切です。
テレワークへの対策
近年、テレワークが一般化していますが、セキュリティのリスクも増加しています。企業は、テレワークにおけるセキュリティ対策をしっかりと実施する必要があります。
VPN(仮想プライベートネットワーク)の利用やセキュリティのリモートアクセスの提供、遠隔ワイプ機能の導入などを検討しましょう。これにより、従業員が安全にリモートで業務を行うことができます。
適宜バックアップをとる
データのバックアップは、情報セキュリティの重要な一環です。定期的かつ適切なバックアップを行うことで、データの損失や破壊からの回復が可能となります。オンサイト(物理的な場所や現地での作業)とオフサイト(物理的な場所や現場から離れた場所での作業や活動)の両方にバックアップを保存することをおすすめします。災害やデータの破損に備えて、バックアップの実施は欠かせません。
無停電電源装置(UPS)を設置する
停電や電源の問題は、企業の情報システムにとって大きなリスクです。無停電電源装置(UPS)の設置は、電力供給の一時的な喪失や電圧の変動による機器の故障を防ぐために重要です。UPSはバッテリーを利用して一定時間の電力供給を保証し、システムの安定性を確保します。これにより、データの損失やシステムの障害を防止できます。
セキュリティの基礎知識を紹介しました
本記事では、情報セキュリティについての基礎知識を紹介しました。
企業が実施すべき対策として、パソコンのセキュリティ強化、従業員教育の徹底、テレワーク対策、適宜のバックアップ、無停電電源装置(UPS)の設置が挙げられます。情報セキュリティは常に進化している分野であり、最新の対策を学習し、実施することが重要です。安心・安全な情報社会の実現のため、情報セキュリティへの意識を高めましょう。