サーバー監視とは?目的・重要性・監視項目・監視ツールの選び方を解説!

サーバー監視とは?目的・重要性・監視項目・監視ツールの選び方を解説!

Webサービスや業務システムはビジネスに欠かせない重要なインフラ。こうしたITサービスを運用するにはサーバー監視が欠かせません。サーバー監視とは何か?具体的にはどんなことをしてくれるのか?詳しく知りたい企業担当者の方に向け、目的・重要性から監視項目・監視ツールの選び方まで、サーバー監視の全体像を解説していきます。

目次
  1. 1. サーバー監視とは
    1. 1-1. システム運用とサーバー監視の関係
    2. 1-2. サーバー監視の対象
  2. 2. サーバー監視の目的 / 重要性
    1. 2-1. 正常監視と異常監視
    2. 2-2. ハードウェア / ソフトウェア障害の予防
    3. 2-3. 障害の原因を特定
  3. 3. サーバー監視の方法と監視項目
    1. 3-1. オンプレミスとクラウド
    2. 3-2. サーバーの監視項目
    3. 3-3. MSPとは
  4. 4. サーバー監視ツールの選び方
    1. 4-1. 監視業務の効率化には統合監視ツールがベスト
    2. 4-2. 自社サーバーの運用形態
    3. 4-3. エージェント / エージェントレス
    4. 4-4. サポート体制
  5. 5. 代表的なサーバー監視 / 統合監視ツール
    1. 5-1. OpManager
    2. 5-2. LogicMonitor
    3. 5-3. PATROLCLARICE(パトロールクラリス)
  6. 6. 【まとめ】サーバー監視の全体像を紹介しました

サーバー監視とは

サーバー監視とは、サーバーを構成するハードウェア / ソフトウェアの稼働状況を定期的にチェックし、異常が発生した場合に管理者へ通知する業務のこと。具体的には、サーバーコンピューター、アプリケーション / ミドルウェア / OSなどの稼働状況チェックがサーバー監視の領域です。

一方、サーバー監視と密接に関連する業務が、ルーター / スイッチなどのハードウェアを含めた、ネットワークの稼働状況をチェックするネットワーク監視です。組織によっては、サーバー監視にネットワークトラフィック監視を含む場合もあり、両者の線引きはやや曖昧。サーバーの運用形態 / 環境によっても監視の領域は異なります。

システム運用とサーバー監視の関係

ITサービスを安全かつ安定的に稼働させるため、システムを管理・運用していく業務が「システム運用」です。システム運用の主な業務には、サーバーの再起動、セキュリティパッチの適用、バックアップなどのメンテナンス以外に、システムの監視も含まれます。

つまり、サーバー監視はシステム運用業務の1つであり、ITサービスを提供するシステムの安全・安定に欠かせない重要な要素です

サーバー監視の対象

パブリッククラウドの普及にともない、オンプレミス中心だった従来のサーバー環境を、クラウドに構築する企業が増えました。もちろん、クラウドサーバーだからといって監視が不要になるわけではありません。オンプレミス同様、クラウドサーバーも監視の対象です。

ただしクラウドの場合、サーバーコンピューターやネットワーク機器などのハードウェア監視は「ベンダーの責任」です。つまり、オンプレミスとクラウドでは、サーバー監視の方法や監視項目も若干異なります。

サーバー監視の目的 / 重要性

サーバー監視の目的は、ITサービスを安定的に提供できるようサーバーの状況を監視し、万一のトラブルをいち早く通知することでビジネスの損失を最小限に抑えることです。

そのためには、サーバー監視によって「ITサービスに発生し得る障害を予防」し、障害が発生してしまった場合の速やかな復旧にむけ「原因を特定する」ことが重要です。

正常監視と異常監視

ITサービスの安定的な提供、トラブル発生の通知という目的を達成するため、サーバー監視業務は「正常監視」「異常監視」を軸に実施されます。正常監視とは、サーバーを構成する各要素が正常に稼働していることを確認する業務のこと。ハードウェア / ソフトウェアが正常に稼働しているか、定期的にコマンドを打ち込んで反応をチェックします。

一方の異常監視とは、サーバーの稼働状況に異常が生じたことを管理者に通知する業務のこと。ツール活用の進むサーバー監視分野では、ダッシュボードへ稼働状況をリアルタイム表示する、異常発生時にアラート通知するなど、業務自体が自動化されつつあります。

ハードウェア / ソフトウェア障害の予防

サーバー監視は、サーバーコンピューター、アプリケーション / ミドルウェア / OSなどの稼働状況を個別にチェックするものです。つまり、サーバーを構成する各要素を注意深く監視することで障害発生の予兆を検知可能。結果的に大規模障害の発生を予防できます。

障害の原因を特定

また、サーバーの各要素を継続的にモニタリングすることで、障害発生時に原因を特定しやすくなります。疑わしい箇所を特定できていれば、時間をかけることなく障害から復旧可能。ビジネスの損失を最小限に抑えるためにも、サーバー監視による障害原因の特定が重要です。

サーバー監視の方法と監視項目

それでは、サーバーの稼働状況は、どのような方法で監視するのか?具体的な方法と監視項目を簡単に紹介しておきましょう。

オンプレミスとクラウド

サーバー監視分野では、サーバー監視ツールを活用した自動化が進められているのは上述した通り。ただし、オンプレミスとクラウドでは、活用されるツールが異なります。

たとえば、AWSの監視ツール「Cloud Watch」などのように、クラウドサーバーは「ベンダーごとに用意されたサーバー監視ツールを利用する」ことが基本。一方、オンプレミスサーバーは、JP1 / OpenViewなど「商用 / オープンソース(OSS)監視ツールを必要に応じて導入」する場合がほとんどです。

一方、オンプレミスとクラウドを組み合わせた、サーバーのハイブリッド化が進んでいるのも近年の傾向。このため、オンプレミス / クラウドサーバーを一元管理できるサーバー管理ツールへの注目が高まっています。

サーバーの監視項目

ハードウェアに対する責任の違いはあるものの、サーバー環境がオンプレミスでもクラウドでも、監視すべき項目に大きな違いはありません。主な監視項目を簡単に紹介しておきましょう。

主なサーバー監視項目

概要

死活監視

サーバーコンピューター / ネットワーク機器の起動を監視。

PINGコマンドを送って反応を確認

ハードウェア監視

サーバーコンピューターと通信し、

CPU / 電源 / 冷却ファンなどのステータスを取得

(クラウドの場合はベンダーが監視)

アプリケーション /

ミドルウェア監視

サーバーで稼働するアプリケーション / ミドルウェアを監視

API呼び出しなどを活用し、パフォーマンスに影響する箇所をチェック

パフォーマンス監視

サーバーのパフォーマンスに影響する

CPU / メモリ / ディスク容量などを可視化して監視。

使用率に一定の基準を設け、数値を超えた場合に通知する

トラフィック監視

ネットワークを流れるデータ量を監視。

データ転送状況がネットワーク帯域を圧迫していないかをチェック

ログ監視

ハードウェア / ソフトウェアが出力するログを監視

ログに異常が含まれている場合は通知する

MSPとは

ツールによる自動化が進んでいるとはいえ、自社リソースのみでサーバー監視することに負担を感じる企業も少なくありません。こうした状況で注目の高まっているサービスが「MSP(Managed Serveice Provider)」です。

マネージドサービスとは、サーバーを含むシステム監視・運用・保守をアウトソーシングし、業務改善とコストの最適化を目指す仕組み。MSPは、マネージドサービスを提供する企業のことです。自社リソースではサーバー監視を賄えない、人材育成が追いつかないという企業であれば、選択肢の1つとして検討する余地があるでしょう。

サーバー監視ツールの選び方

MSPを利用せず、自社でサーバー監視するのであれば、ツールを活用した監視業務の効率化が必要不可欠。それでは、適切なサーバー監視ツールはどう選べばいいのか?ヒントとなるポイントをいくつか紹介していきます。

監視業務の効率化には統合監視ツールがベスト

サーバー監視ツールは、大きくサーバーの監視に特化した「サーバー監視ツール」および、ネットワーク / ストレージの監視にも対応する「統合監視ツール」の2つ。監視業務の効率化を推進するには、統合監視ツールがおすすめです。

実際、サーバー監視ツールの主流は統合監視ツールになりつつあります。それは、近年のサーバー運用形態も影響しているでしょう。

自社サーバーの運用形態

統合監視ツールが主流となりつつある理由は、オンプレミス環境のサーバー / ネットワークを一元的に監視できることが1つ。もう1つは、オンプレミス / クラウドを併用するハイブリッド環境を採用する企業が増えているためです。

自社サーバー環境がクラウドのみであれば、AWS Cloud Watchなどのベンダーツールで監視するのが合理的。しかし、ハイブリッド環境なら、オンプレミス / クラウドでツールを分けるのは合理的ではありません。

ハイブリッド環境に対応するサーバー統合監視ツールが注目されているのはこのため。ただし、自社サーバーの環境、運用形態に応じて、適切なツールは変動します。

エージェント / エージェントレス

サーバー監視ツールには、サーバーにソフトをインストールする「エージェント型」、インストールの不要な「エージェントレス型」という2つのタイプがあります。

エージェント型のメリットは、サーバー内ソフトウェアが稼働状況を細かくチェックできること。一方、インストール / アップデートを含む管理の煩雑さはエージェント型のデメリットです。監視対象のサーバーが増加すれば、その分だけデメリットも大きくなります。

エージェントレス型は、通信プロトコルをサーバーに送信し、反応をチェックする仕組みのため、エージェント型よりも詳細情報を取得しにくい傾向があります。ただし、監視対象の拡張にも柔軟に対応でき、管理面の負荷も軽減できるため、近年はエージェントレス型が主流になりつつあります。

サポート体制

ツールベンダーのサポート体制も、サーバー監視ツールを選定する際の重要なポイント。なぜなら、サーバー監視ツールの導入・運用には専門的な知識が求められるからです。

主なサポートとして提供されているのはチャット、メール、電話などですが、ベンダーによって有償 / 無償の線引きは異なります。自社内にサーバー監視の知識を持つ人材がいるのか?いなければ、どこまでのサポートが必要なのか?念頭におきながら検討しましょう。

代表的なサーバー監視 / 統合監視ツール

最後に、サーバー監視 / 統合監視ツールにはどのようなものがあるのか?知りたい方に向け、代表的なツールをいくつか紹介していきます。

サーバー監視ツール

特徴

価格

OpManager

・オンプレミス / クラウド / ハイブリッドサーバーの監視に対応

・サーバーからネットワーク、ストレージまでエージェントレスで監視

・マップの自動作成機能でネットワーク全体を可視化

年間ライセンス

(1年間のライセンス料 + 1年間の保守費用)

・50デバイス / 2ユーザー 257,400円

・100デバイス / 2ユーザー 454,000円

・250デバイス / 2ユーザー 709,500円

 

通常ライセンス

(無期限のライセンス料 + 1年間の保守費用。

2年目以降は年間保守費用が必要)

 

・50デバイス / 2ユーザー 570,900円

(2年目以降の保守費 132,000円)

 

・100デバイス / 2ユーザー 1,001,000円

(2年目以降の保守費 232,100円)

 

・250デバイス / 2ユーザー 1,574,100円

(2年目以降の保守費 365,200円)

 

オプション

25ストレージ監視オプション 404,800円

※価格はすべて税込み

LogicMonitor

・エージェントレスのSaaS型統合監視ツール

・オンプレミス / クラウド / ハイブリッドサーバーを監視可能

・AIOpsによる障害予兆検知

要問い合わせ

PATROLCLARICE

・国内4,000以上が導入するエージェントレス型統合監視ツール

・サーバーからネットワークまでをワンソリューションでカバー

・RPA連携で監視業務の自動化を促進可能

初年度ライセンス + 年間ポイント使用料 836,000円〜

2年目以降の年間ポイント使用料 336,000円

※税込み価格は要問合せ

OpManager

サーバー監視とは?目的・重要性・監視項目・監視ツールの選び方を解説!_1

画像出典:OpManager

OpManagerのおすすめポイント

  • オンプレミス / クラウド / ハイブリッドサーバーの監視に対応
  • サーバーからネットワーク、ストレージまでエージェントレスで監視
  • マップの自動作成機能でネットワーク全体を可視化

OpManegerは、ゾーホージャパン株式会社が開発・提供する統合監視ツールです。オンプレミス / クラウド / ハイブリッドのサーバー環境をエージェントレスで監視できることが特徴。ネットワーク / サーバーだけでなく、オプションでデータベースやOracleアプリケーションなども監視できます。

多種多様な製品の存在するサーバー、ネットワーク機器の設定を簡素化する、10,000以上のテンプレートが用意されているのもポイント。アラートや通知設定も簡単なため、最短10分でサーバー監視をスタートできます。

OpManagerの概要・実績・価格感

会社名

ゾーホージャパン株式会社

主な機能

ネットワーク監視

(死活 / リソース / トラフィック監視、コンフィグ管理、ログ解析)、

サーバー監視(死活 / リソース / 状態 / アプリケーション / 仮想サーバー監視)、

アプリケーション監視(オプション)、ストレージ監視(オプション)

価格感

※税込み

年間ライセンス(1年間のライセンス料 + 1年間の保守費用)

・50デバイス / 2ユーザー 257,400円

・100デバイス / 2ユーザー 454,000円

・250デバイス / 2ユーザー 709,500円

 

通常ライセンス(無期限のライセンス料 + 1年間の保守費用。

2年目以降は年間保守費用が必要)

・50デバイス / 2ユーザー 570,900円(2年目以降の保守費 132,000円)

・100デバイス / 2ユーザー 1,001,000円(2年目以降の保守費 232,100円)

・250デバイス / 2ユーザー 1,574,100円(2年目以降の保守費 365,200円)

 

オプション

25ストレージ監視オプション 404,800円

導入実績

  • 富士フイルムホールディングス株式会社
  • 福岡ソフトバンクホークス株式会社
  • 松井証券株式会社

LogicMonitor

サーバー監視とは?目的・重要性・監視項目・監視ツールの選び方を解説!_2

画像出典:LogicMonitor

LogicMonitorのおすすめポイント

  • エージェントレスのSaaS型統合監視ツール
  • オンプレミス / クラウド / ハイブリッドサーバーを監視可能
  • AIOpsによる障害予兆検知

LogicMonitorは、SaaSpresto株式会社が提供するSaaS型統合監視ツールです。監視するネットワークに専用アプリケーションをインストールするだけ。エージェントレスでオンプレミス / クラウド / ハイブリッドサーバーを効率的に監視できます。

特徴的なのは、監視・運用業務を効率化する「AIOps」機能。過去データをもとに障害が発生しやすい傾向を把握・予兆を通知する「障害予兆検知」を実現。IT環境の状態を定量化し、追加投資の時期と金額を予測できる「IT投資最適化」機能なども使えます。

LogicMonitorの概要・実績・価格感

会社名

SaaSpresto株式会社

主な機能

サーバー監視、OS監視、仮想化・コンテナ監視、ログ監視、

Webサイト監視、アプリケーション監視、ストレージ監視、データベース監視、

ネットワーク・セキュリティ監視、SaaS監視、ダッシュボード・レポート

価格感

※税込み

要問い合わせ

PATROLCLARICE(パトロールクラリス)

サーバー監視とは?目的・重要性・監視項目・監視ツールの選び方を解説!_3

画像出典:PATROLCLARICE

PATROLCLARICEのおすすめポイント

  • 国内4,000以上が導入するエージェントレス型統合監視ツール
  • サーバーからネットワークまでをワンソリューションでカバー
  • RPA連携で監視業務の自動化を促進可能

PATROLCLARICEは、株式会社コムスクエアが開発・提供するエージェントレス型統合監視ツールです。自社データセンターの監視業務のために開発されたツールを製品化。オンプレミスからハイブリッドまで、サーバーからネットワークまで、監視業務に必要なものが網羅され、インフラ会社を含む国内4,000社以上が導入しています。

無料 / 無制限で使える死活監視以外の監視機能は、設定数に応じて購入できることもポイント。不要な監視機能にはコストが発生しない仕組みです。RPAと連携し、監視業務の自動化を促進できることも特徴の1つです。

PATROLCLARICEの概要・実績・価格感

会社名

株式会社コムスクエア

主な機能

外部監視

(死活 / 接続 / SNMP / コマンド / Web監視、

AWS / Azure / GCP / ハイパーバイザ監視)、

 

内部監視

(コマンド / サービス / セキュリティ / ログ / リソース監視)

価格感

 

初年度ライセンス + 年間ポイント使用料 836,000円〜

2年目以降の年間ポイント使用料 336,000円

※税込み価格は要問合せ

導入実績

  • 株式会社ドン・キホーテ
  • 株式会社NTTぷらら
  • KDDI株式会社

【まとめ】サーバー監視の全体像を紹介しました

Webサービスや業務システムの運用に欠かせないサーバー監視。サーバー監視とは?具体的になにをする?といった疑問を持つ企業担当者の方に向けに、目的・重要性から監視項目・監視ツールの選び方まで、サーバー監視の全体像を解説してきました。

サーバー監視は、ITシステム / サービスの運用に欠かせない重要な業務。しかし、システム運用 / 保守と密接な関係にあるサーバー監視体制を構築することは簡単ではありません。自社のみでの対応が難しいのであれば、MSPの利用を視野に入れることもおすすめです。