ネットセキュリティにおける脆弱性とは?対策に役立つ情報も紹介

ネットセキュリティにおける脆弱性とは?対策に役立つ情報も紹介

複雑なインターネットの世界において、セキュリティを学ぶことは重要です。しかし、何から学べばよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ネットセキュリティの脆弱性とは何か、脆弱性解消に役立つ情報などを中心に紹介していきます。

目次
  1. 1. 脆弱性とは
    1. 1-1. 脆弱性をそのままにしておくとどうなる?
    2. 1-2. ゼロデイ攻撃が増えている
    3. 1-3. 根本的な原因
    4. 1-4. 脆弱性への対応の現状
  2. 2. 脆弱性の対策
    1. 2-1. 「安全なウェブサイトの作り方」の確認
    2. 2-2. ファジングの実施
    3. 2-3. 脆弱性体験学習ツール AppGoatで学ぶ
    4. 2-4. IoTのセキュリティを見直す
    5. 2-5. iLogScanner
    6. 2-6. icat for JSON(アイキャット・フォー・ジェイソン)で最新の情報を把握する
  3. 3. 脆弱性対策情報ポータルサイトもある
  4. 4. 脆弱性に対する情報を手に入れ対策を行おう

脆弱性とは

脆弱性とは、コンピューターネットワークにおける安全上の欠陥を意味する言葉です。OS(オペ―レーションシステム)やソフト/ハードウェアのバグや不具合によって、コンピューター内部の情報セキュリティが脅かされている状態を意味します。

本項ではまず、脆弱性の原因や発見された場合の対処法等を解説していきます。脆弱性の基本について知りたい場合は、是非参考にしてみてください。

脆弱性をそのままにしておくとどうなる?

脆弱性をそのままにしておくのは、ウイルス感染の原因になる、サイバー攻撃の侵入経路になるなどのセキュリティリスクです。そのため、ハードウェア、ソフトウェアのメーカーは脆弱性を発見し次第、その脆弱性に対応する更新プログラムなどを提供し、対応策を講じます。

しかしながら、脆弱性を完全になくし、システムを欠陥のない状態にすることは難しいのが現状です。そのため、更新プログラムを提供し、脆弱性をカバーしても、また新たな脆弱性が発見される状態が続いています。

ゼロデイ攻撃が増えている

ゼロデイ攻撃とは、システムに脆弱性が見つかってから、メーカーが対応する修正パッチや更新プログラムを提供するまでの間隙を縫って行われるサイバー攻撃のことです。脆弱性が発見され、それが公になってから修正プログラムの開発を進めることは多くあります。

その合間を縫って攻撃するゼロデイ攻撃への完全な対策は現状難しいと言わざるを得ません。そのため、脆弱性が公開された時点で、ユーザーは危険とされる行為を行わないようにするなど、ある程度の自衛策を講じる必要があります。

根本的な原因

脆弱性の根本的な原因は、開発時に起きた設計ミスや、システムそのものの不具合です。ソフトウェアの開発過程では脆弱性を早期発見するため、SAST、IAST、DASTといったセキュリティテストを、開発途中のアプリケーションに実施しています。

加えて、多くの研究機関や団体が、脆弱性の少ない安全なシステム開発を実現するための手引きや施策を公開。脆弱性を少しでも減らすために、AIやNLPを使った開発時の脆弱性対策も多くの研究機関が研究を進めています

脆弱性への対応の現状

サイバー攻撃を行う際、攻撃者はPoCやエクスプロイトという手段を用いてソフトウェアの脆弱性を突きます。一方、ソフトウェアのメーカーは脆弱性が発見された場合、ソフトウェアの更新・アップデートや、「パッチ」という修正プログラムを提供することで、対応策を講じます。服に小さな穴やほつれを見つけたら、都度縫い合わせて穴を閉じるようなイメージです。

しかし、ソフトウェアの脆弱性をパッチやアップデートで対応しても、新たな脆弱性が発見されます。そのため、完全な対応策というものが存在せず、発見された脆弱性に対策を講じ続ける他ないというのが現状です。

脆弱性の対策

常に対策を講じる必要のある脆弱性ですが、いくつかの情報を知っておくことで、脆弱性対策に役立てることが可能です。本項では、独立行政法人、情報処理推進機構が紹介している脆弱性対策に役立つ以下の資料や各種情報について紹介・解説をしていきます。

  • 「安全なウェブサイトの作り方」の確認
  • ファジングの実施
  • 脆弱性体験学習ツール AppGoatで学ぶ
  • IoTのセキュリティを見直す
  • iLogScanner
  • icat for JSON(アイキャット・フォー・ジェイソン)で最新の情報を把握する

仕事やプライベートで使うパソコンやスマートフォンなどの端末を可能な限り安全に保つために、本項で紹介する情報を役立ててみてください。

「安全なウェブサイトの作り方」の確認

安全なウェブサイトを作る上で役に立つのが、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が提供している「安全なウェブサイトの作り方」です。この資料では、情報処理推進機構がこれまでに届け出を受けた情報から、件数の多い脆弱性、サイバー攻撃を受けた際に影響力の強い脆弱性等を紹介しています。

たとえば、脆弱性の例として「SQLインジェクション」が紹介されています。SQLインジェクションはデータベースを活用したウェブアプリケーションのSQL文の組み立てに問題がある場合に引き起こされる脆弱性です。S個人情報の漏洩などにも繋がる重大な脆弱性となるため、アプリの利用側も運営側も押さえておきたい情報といえます。

安全なウェブサイトの作り方 IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 |  

ファジングの実施

ファジングとは、脆弱性を検出するための検査手法の一つです。検査対象となるソフトウェアや機器に敢えて仕様に反するデータを送信することで、応答や挙動の監視を行います。ファジングの時点で異常な挙動や反応を検査対象が示せば、事前に脆弱性を発見することが可能です。

なお、ファジングの詳しい内容については、情報処理推進機構の「ファジング活用の手引き」で紹介しています。本書では、ファジングの概要から効果、実績、課題に至るまでさまざまな側面から解説をしています。

たとえば、ファジングの特徴であるブラックボックス検査やブルートフォースといった具体的な検査手法を図示しながら解説しているため、基礎的な部分から学習が可能です。

脆弱性対策:ファジング | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

脆弱性体験学習ツール AppGoatで学ぶ

AppGoatは、脆弱性を基礎から学ぶことのできる実習形式の学習ツールです。脆弱性とは何か、どのように対策を講じればよいかなど、一から体系立てて学んでいきたい場合にはうってつけのツールといえます。

AppGoatの利用者は脆弱性の発見から対策法に至るまで、各テーマ別に設定された演習問題に取り組むことで、脆弱性を体験的に学習することが可能です。アプリケーションの開発やウェブサイトの運営をしていきたい方であれば是非使用したい学習ツールといえるでしょう。

なお、AppGoatについてより詳しく知りたい場合には、下記URLから詳細を確認してみてください。

脆弱性体験学習ツール AppGoat | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

IoTのセキュリティを見直す

IoTでは、テレビやゲーム機など、さまざまな端末をインターネットに接続することで、従来にはなかった使い方が可能になりました。反面、IoTではプライバシーな情報をインターネットを通じてやり取りすることになるため、正しいセキュリティ対策が行われている必要があります。

IoTのセキュリティを学ぶ際に役立つのが、情報処理推進機構が公開している「IoT開発におけるセキュリティ設計の手引き」です。IoTにおけるセキュリティ設計の基本や、想定される脅威の分析、対策の実施を具体例を通じて学習することができます。

具体的には、IoTに対して想定される攻撃がツリー図を用いて解説されていて、脅威分析の結果から導き出される有効なセキュリティ対策を学習可能です。ネットワークカメラへの攻撃に対してはユーザー認証を始めとした対策が有効など、具体例を出して解説してくれるため、初学者にも分かりやすい内容となっています。

IoT開発におけるセキュリティ設計の手引き |IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

iLogScanner

iLogScannerは、サーバーのアクセスログを活用することで、サイバー攻撃の痕跡などを検出することのできる検査ツールです。ウェブサイト内のアクセスログを細かく解析し、攻撃の痕跡や行われた攻撃の種類特定などを詳しく検出することが可能となっています。

iLogScannerはSSH(Secure Shell)、FTP(File Transfer Protocol)など特殊なサーバーのログにおいても攻撃の痕跡を検出可能です。iLogScannerの概要や機能についてより詳しく知りたい方は、次のURLを参照してください。大量のアクセス痕跡や短時間でのアクセス集中など、iLogScannerによって検出・分析可能な攻撃やSQLインジェクションなどの脆弱性を項目別に紹介されています。

ウェブサイトの攻撃兆候検出ツール iLogScanner | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

icat for JSON(アイキャット・フォー・ジェイソン)で最新の情報を把握する

icat for JSONは、情報処理推進機構が提供しているサービスで、「重要なセキュリティ情報」をリアルタイムで配信しています。たとえば、重大なセキュリティの脆弱性などが発見された場合には、icat for JSONを閲覧することで詳細を即時に確認することが可能です。

ゼロデイ攻撃などに備え、脆弱性への対応は迅速さが重要な要素となります。icat for JSONを活用することで、重大な脆弱性が発見された場合にも、リアルタイムで周知徹底し、事故を予防できるでしょう。

サイバーセキュリティ注意喚起サービス「icat for JSON」 | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

情報処理推進機構では、先に紹介した情報以外にも、脆弱性に関連した情報を閲覧することが可能です。公開されている関連情報を確認することで、さらに細かく脆弱性に関しての学習や対策を講じることが可能です。情報セキュリティに万全を期したい場合には、関連情報も確認することでより知識を深めることができるでしょう。

なお、情報処理推進機構で公開されている脆弱性の関連情報を取得したい場合には、下記URLを参照してみてください。

脆弱性対策関連情報 | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

サーバオープンソースソフトウェア関連情報 | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

脆弱性対策情報ポータルサイトもある

JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)では、「JVN」と「VRDAフィード」という脆弱性対策に関する情報ポータルサイトを公開しています。これらのポータルサイトを活用することで、脆弱性の脅威を把握する助けとすることができるでしょう。

「JVN」では、企業が提供しているソフトウェアやシステムの中に発見された脆弱性の最新情報を日時別に確認することができます。利用している製品に問題が見つかった場合には即座に脆弱性の詳細を閲覧できるため、迅速な対応をしたい場合に便利です。

一方、「VRDAフィード」ではソフトウェアやシステムに検出された脆弱性の脅威分析をユーザーが行うための情報を、分析項目ごとに分析値を使って配信しています。VRDAフィードを活用することで、脆弱性に関する情報収集の労力を低減できるのは大きなメリットです。

「VRDAフィード」の内容については、下記を確認してみてください。

JPCERT コーディネーションセンター 脆弱性対策情報

Japan Vulnerability Notes (jvn.jp)

脆弱性に対する情報を手に入れ対策を行おう

いかがだったでしょうか。本記事では、脆弱性の概要や、対策に役立つ情報ソースの紹介などを中心に解説しました。誰もがソフトウェア、IoTなどに触れて生活を送る現代において、脆弱性の詳細や対策の取り方を知っていることは情報セキュリティを守る上で大きな助けとなります。脆弱性について一から学びたい方、対策を知りたい方は、本記事の内容や紹介した情報ソースを参照してみてください。